第6回中国四国男女共同参画シンポジウム ギアチェンジ! 共に働く時代の男女共同参画社会
~「男働き」社会の見直しと女性のキャリア形成のこれから~実施報告?詳細
2014.11.28

開会に際しまして、188bet体育_188bet赌场-【平台官网】の脇口宏学長は「女性が社会から正しく評価されて楽しく生活することで、豊かな社会づくりに邁進できるような環境構築につながることを祈念します」と挨拶を述べました。
来賓挨拶では、高知県文化生活部の岡﨑順子部長より、尾崎正直高知県知事のメッセージを代読していただきました。
続いて、文部科学省科学技術?学術政策局人材政策課人材政策推進室の近藤潤室長補佐より来賓挨拶をいただきました。

基調講演では、文化人類学者で城西国際大学客員教授の原ひろ子先生から、「科学?技術コミュニティにおける男女共同参画~女性研究者のキャリアとその位置づけ~」と題するお話がありました。原先生は、我が国の科学?技術コミュニティにおける男女共同参画について、国際社会の動向を交えながら時系列に説明されました。原先生のお話からは、科学?技術コミュニティにおける男女共同参画に当事者として関わってきたことによる歴史の細部がリアリティをまとって伝わってきました。

特別講演では、京都大学大学院文学研究科教授の伊藤公雄先生から、「男性にとっての男女共同参画 男性学?男性性の視点から」と題するお話がありました。
伊藤先生からは、日本における女性の社会進出が西欧諸国に比べて遅れているという指摘があるが、1960年代~70年代ごろまではむしろ西欧諸国の方が遅れていた部分も多く、現在の日本における「働き方」は決して普遍的なモデルではないというお話がありました。
1970年代の国際的な経済不況で、西欧社会が女性の社会参画や「働き方」の改善に取り組んでいった他方で、日本は「人口ボーナス」時代となり、終身雇用、年功序列、長時間労働の「働き方」が定着し、それを支える専業主婦が一般的になった。伊藤先生によれば、このような「働き方」による高度経済成長の成功体験が、成熟社会に入った日本社会においてもその変化を妨げている要因の一つであり、「働き方」を見直す必要があると述べられました。
伊藤先生は、男女ともに社会参加と個人生活のバランスが取れた、多様性と人と人の絆に支えられた男女共同参画社会の実現が必要で、「二色刷社会」を「単色社会」にするのではなく、「多色刷社会」にしていくことが大切と強調されました。

実践交流では、「中国四国地方から発信する男女共同参画の取組」をテーマに、188bet体育_188bet赌场-【平台官网】の中川香代男女共同参画部門長をコーディネーターとして、広島大学、岡山大学、徳島大学の各大学がその取組を報告しました。
また、城西国際大学の原ひろ子先生、文部科学省人材政策推進室の近藤潤室長補佐にはコメンテーターとして参加いただきました。
広島大学男女共同参画推進室長の中坂恵美子先生からは「地域と協働する男女共同参画の取組~広島大学の拠点型事業から~」と題する報告がありました。報告では、平成19年度に採択された「女性研究者支援モデル育成」による女性研究者のリーダーシップの育成、平成22年度に採択された「女性研究者養成システム改革加速」による女性研究者活躍促進の取組を土台にした産学官連携による拠点型事業についてお話がありました。
岡山大学男女共同参画室長の富岡憲治先生からは、「岡山大学における女性研究者支援と男女共同参画」と題する報告がありました。そして、その中で、学都?岡大発女性研究者が育つ進化プランに触れて、女性研究者を育てるWTT(ウーマン?テニュア?トラック)の制度についてお話がありました。
徳島大学AWAサポートセンターの山内あい子先生より、「四国5大学連携による 女性研究者活躍推進コンソーシアム形成事業」と題する報告がありました。ここではこれまでの四国5大学における男女共同参画の取組と連携について触れ、四国5大学学長会議を契機に文部科学省に申請した女性研究者研究活動支援事業(連携型)に採択されたことが紹介されました。そして、徳島大学を基幹校に、愛媛大学、香川大学、188bet体育_188bet赌场-【平台官网】が連携して女性研究者支援に取組んでいく計画について報告がありました。

閉会のあいさつでは、188bet体育_188bet赌场-【平台官网】の櫻井克年理事が、「人と地域とのコミュニケーションを大切にしながら、内でも外でも共に働く、という仕組づくりが今後一層重要になる気がします」と述べ、共に働く時代の「働き方」を社会全体で考え共有できるような取組みの必要性を強調されました。
アンケートの回答から
- 伊藤先生の「お父さんは透明人間」の詩が印象に残りました。一番に日本人は働きすぎという問題があると思いました。(30代、女性、事務職員)
- 原先生のエネルギッシュな講演で感銘を受けました。また、伊藤先生の男性性の研究はなかなか聞く機会がなく、大変勉強になりました。(40代、女性、教員)
- 男性学?男性性という視点が面白かった。(50代、男性、教員)
- 原先生のお話は、自らの経験と世界?日本の動向を踏まえた内容で、これまでの女性研究者の位置づけなどについて学ぶことが出来ました。伊藤先生のお話は、男性学?男性性研究の視点から、とても興味深く拝聴しました。今後は、男性側の問題が生まれることや、多様化する社会、多色刷り社会が求められることが学べました。(30代、男性、事務職員)
- 男性の意識改革の重要性に気付かされました。(40代、女性、事務職員)
- 女性の支援はもちろん、男性の支援もしっかり行わなければいけないと思いました。(20代、女性、事務職員)
- 男性の視点からジェンダー問題を考えることが出来た。大学において、女性研究者が活躍することはそのパートナーである男性研究者が同等に家庭責任を果たすことが必須であり、男性が生活者としての感覚を身に付けることが出来れば、研究?教育の基本姿勢にも変化が起こると期待される。(60代、女性、教員)
- 組織に男性が多いと、男性が何かをやることを基本として物事を考えてしまうのではないかと思った。誰かが認識を変えてくれるのを待つのではなく私たち自身が変えていかなくてはならないと思う。(男性、学生)
- ひとりひとりが物事を批判的、多角的に捉えることで「無意識の差別、社会の風潮の差別」が起こらないようにしなければならないと思った。「講演で聞いた」だけで終わらないように自分の学びにしたい。(女性、学生)
- 教育学部にいるとそれほど女性研究者が少ないとは感じなかったが、他の学部で女性研究者を見たことがあるかなと思い返して見ると、確かにわたしはほとんど見たことがないと思った。(男性、学生)