研究について

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188bet体育_188bet赌场-【平台官网】呼吸器外科では臨床研究や基礎研究に力を注いています。
これらの研究結果に基づく新しい治療法の開発によって、治療成績の向上を目指しています。

1.低侵襲呼吸器外科学(低侵襲検査法の創出、低侵襲手術の開発?臨床応用)
2.基礎医学から臨床医学への応用
の2本柱で研究を行っています。

(がん臨床)

高齢者肺がん患者におけるサルコペニアの病態評価と術前栄養リハビリテーション介入による予後改善の試み

研究の目的

手術を施行した高齢者肺癌患者の遠隔期成績に基づく予後予測モデルを構築し、予後不良となる患者を早期発見できる評価ツールを開発すること。さらには様々な栄養?運動介入の予後改善効果について解析することを目的とする。

研究概要

術前のサルコペニアやフレイルの存在が肺癌に対する肺切除術の術後経過に及ぼす影響を検討した報告は少なく、かつその成績は一致していない。さらには、サルコペニア等の関与、栄養リハビリの介入の効果については未だ検討がなされていない。本研究では手術を施行した高齢者肺癌患者の遠隔期成績(死亡や再入院の有無、期間、身体活動量など)に基づく予後予測モデルを構築し、予後不良となる患者を早期発見できる評価ツールを開発することを目指し、様々な栄養?運動介入の効果について、AIを用いて解析する。抗炎症成分を含有した補助栄養食品による栄養療法と運動療法などから構成される栄養リハビリテーション(栄養リハビリ)という新規医療介入方法を構築し、この栄養リハビリの効果を科学的に検証し、さらに本法の普及を促進するというものである。高齢者肺癌手術患者の予後不良患者の早期検出と、リハビリの介入による予後改善を目指す。

【論文等】
  • Tamura M, Sakai T, Furukawa N, Yamamoto M, Miyazaki R, Okada H. Prognostic significance of CONUT score in elderly NSCLC. Ann Thorac Cardiovasc Surg. 30(1):24-00009 (2024)
  • Miyazaki R, Tamura M Sakai T, Furukawa N, Yamamoto M, Okada H. Using the combined C-reactive protein and controlling nutritional status index for elderly non-small cell lung cancer. J Thorac Dis 30;16(7):4400-4408 (2004)

(がん基礎)

肺がんにおけるFascinと上皮間葉系形質転換関連蛋白の分子生物学的評価および臨床的意義の研究  共同研究者:村上 一郎?林 芳弘

研究の目的

原発性肺癌におけるFascin蛋白および上皮間葉転換関連蛋白発現を検討し、肺癌の悪性度診断、術後再発?遠隔転移の予測など臨床的意義について明らかにすることを目的とする。

研究概要

Fascinはヒト正常組織には発現せず、一部の癌細胞や樹状細胞に発現するアクチン束化蛋白で、上皮間葉転換 ( Epithelial mesenchymal transition; EMT ) に関与し、さらに腫瘍細胞の遊走?転移に重要な役割を演じている。当院病理診断部?設備サポート戦略室にて肝細胞癌や乳癌、Solitary Fibolous Tumor(SFT)等の症例を対象にFascin発現が予後を予測するバイオマーカーになる可能性について研究してきた。現在、肺癌については他施設においてFascin発現と予後との関係について報告はあるが、その具体的なメカニズムについてはまだ充分には解明されてはいない。我々はこれまでに胸腺癌組織におけるFascin発現が、上皮間葉転換 ( EMT ) に関与し予後に影響するメカニズムを明らかにしてきた。本研究は、肺癌においてFascin蛋白検出が、術後の再発?遠隔転移の予測を可能にし、肺癌の術後再発の早期発見?手術患者の予後改善に寄与することを目指す。

【論文等】
  • Hayashi Y, Yamamoto Y, Murakami I. Micromorphological observation of HLE cells under knockdown of Fascin using LV-SEM. Med mol Morphol.56(4):257-265 (2023)
  • Yamamoto Y, Hayashi Y, Sakai H, Murakami I. Downregulation of fascin induces collective cell migration in triple-negative breast cancer. Oncology Reports. 50(2)150 (2023)

(診断?検査)

平均CT値を用いた肺がん悪性度診断に関する研究

研究の目的

平均CT値という評価法を用いて早期肺癌の悪性度診断を行うことを目的とする。

研究概要

近年薄切CTにより、すりガラス陰影の発見が増えている。平均CT値という評価法を用いて早期肺癌の悪性度診断を行うことを目的とし、これまでに将来的に増大する病変を、予見することができる可能性を示した。また肺癌の浸潤性について、浸潤癌では非浸潤癌に比べて平均CT値が低く、C/T比(consolidation/tumor比)に比べて診断能が高いことを示した。さらに縮小手術を施行した症例を対象に再発の有無について検討を行い、平均CT値が有用な指標となることを示した。これまでの研究成果をもとにさらに臨床データを蓄積し、縮小手術の適応決定のためのエビデンス構築を目指す。

【論文等】
  • Yamamoto M, Tamura M, Miyazaki R, Okada H, Wada N, Toi M, Murakami I: Mean computed tomography value to predict spread through air spaces in clinical N0 lung adenocarcinoma. J Cardiothorac Surg 23;19(1): 260.doi:10.1186/213019-024-02612-2 (2024)
  • Tamura M, Matsumoto I, Tanaka Y, Saito D, Yoshida S, Takata M: Predicting recurrence of non-small cell lung cancer based on mean computed tomography value. J Cardiothorac Surg 12;16(1):128(2021).doi:10.1186/s13019-021-01476-0.
  • Tamura M, Matsumoto I, Saito D, Yoshida S, Seiichi K, Takemura H: Mean computed tomography value to predict the tumor invasiveness in clinical stage IA lung cancer. Ann Thorac Surg 104(1):261-266, 2017
  • Tamura M, Shimizu Y, Yamamoto T, Yoshikawa J, Hashizume Y: Predictive value of one-dimensional mean computed tomography value of ground-glass opacity on high-resolution images for the possibility of future change. J Thorac Oncol 9(4):469-72, 2014

(新規治療法)

強い近赤外蛍光を発する樹脂を標識具とした小型肺癌に対する新たな肺マーキング法の開発  共同研究者:佐藤 隆幸

研究の目的

体内に安全に投与可能で、近赤外線蛍光を発するindocyanine green (ICG)と近赤外蛍光樹脂製有棘チューブを用いて小型肺癌に対する新たな肺マーキング法の開発を目指す。

研究概要

本研究では、生体深部の患部および損傷を回避すべき臓器を〝ひかりナビゲーション?するための標識具を改良し、気管支鏡で区域気管支に留置でき、かつ胸腔鏡下手術中に臓側胸膜から位置を特定することができる有棘チューブを開発する。ICGは至適濃度範囲の狭さや蛍光強度の低さが、深部に存在する患部の標識を困難にしている。また水溶性であるICGの易拡散性は、患部の正確な位置の特定を困難にする最大の欠点となっている。申請者らは、このような技術的な課題を解決し、画期的な近赤外蛍光樹脂材料の開発に成功した。小型肺癌の手術時に肺を同定する方法として、これまでに様々な肺マーキング法が開発され臨床使用されてきたが、安全性、確実性、簡便性、患者の苦痛などの課題を抱えている。近赤外蛍光樹脂製有棘チューブをハイブリッド手術室にて使用することで、これまでの問題点を解決する革新的な肺マーキング法の開発を目指す。

【論文等】
  • Takashi Anayama, Kentaro Hirohashi, Ryohei Miyazaki, Hironobu Okada, Marino Yamamoto, Kazumasa Orihashi. Fluorescence visualization of the intersegmental plane by bronchoscopic instillation of indocyanine green into the targeted segmental bronchus: Determination of optimal settings. J Int Med Res. Feb;49(2):300060521990202 (2021)

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