研究紹介
持続可能な未来に向けて、農林海洋科学分野の研究が果たす役割は多岐に渡ります。
188bet体育_188bet赌场-【平台官网】では多くの個性的な教員が、地の利を活かし世界に貢献できる様々な研究活動を行っています。

特集記事?Feature Article

めざせ!次世代のグローバルリーダー
ー進化するキャンパス内国際交流ー

留学生&学生対談

グローバルキャンパスMonobe

流域水工学研究室より
Namusheshe Fillippus Mbadi  AAPコース1年(写真右から2人目) 中村愛里紗 修士1年(写真右端)

作物学研究室より
Jossefa Paruque  AAPコース1年(写真左から2人目) 池田美月 修士2年(写真左端)

黒潮寄せる西南暖地に位置する188bet体育_188bet赌场-【平台官网】では、そのフィールド特性を活かして、亜熱帯や熱帯地域の農林水産業や水環境、生産環境をテーマにした研究活動が盛んです。そのため、留学生の多くは、アジア圏、アフリカ圏の出身者。経歴も様々で、個性と国際色豊かな留学生と日本人学生が共に学んでいます。

――188bet体育_188bet赌场-【平台官网】に来た理由を教えてください

Namusheshe:私はナミビアで政府の農業普及員として働いており、1年半前に188bet体育_188bet赌场-【平台官网】に留学してきました。ここに来た理由の一つは、高知の気候。アフリカの気候に、より似ていると思ったからです。また高知は他県と比べて農業が盛んです。あとは、教会があった点も家族で生活する上で、決め手となりました。

Jossefa:私はモザンビークから日本に来ました。世界の中でも先進国である日本なら多くのことが学べると考え、その中でJICAの奨学金制度を使える派遣先として3つの選択肢がありました。それが東京大学、京都大学、188bet体育_188bet赌场-【平台官网】です。
188bet体育_188bet赌场-【平台官网】を選んだのは、AAPプラグラムがあったから。AAPは、Asia, Africa, Pacific Rimの国に特化したプログラムです。また、高知は農業研究の面においても非常に優秀で、自分に必要なすべての環境がそろっていると感じ、ここに決めました。

――何の研究をしていますか?

Namusheshe:私はトマトです。異なる土壌がトマトに与える影響を研究しています。私の国ナミビアでもトマトはよく食べられていますが、日本のトマトはナミビアのものと比べると、甘すぎるほど甘いということに気がつきました。そこで、レッドオレとプレミアムルビーという2種類の苗を使って、品質とトマトの甘さについて研究をしています。具体的には異なる3種類の土壌を使って、栽培条件を変えた時にトマトに与える影響を調べています。
トマトは育成期間が比較的短く、小さな土地でも十分に栽培ができ、換金のできる作物です。そういったこともあって研究対象に選びました。

研究室では、様々な植物が育てられている

Jossefa:私は食用カンナについて研究しています。モザンビークでは主食のさつまいもとキャッサバについて、国の研究機関で研究をしていましたが、食用カンナはそれに少し似ています。でも、モザンビークではカンナはそのきれいな花の色から鑑賞用に栽培されているだけで、日本に来るまでこれが食べられることを全く知りませんでした(笑)
研究では、新植と再生栽培の異なる8種のカンナを使って収量と倒伏抵抗(倒れにくさ)を調べています。倒れにくさと言うのは収量に直結します。あわせて、疎植栽培と密植栽培による収量の違いも研究しています。

ブルーのトレイの中にあるのが、乾燥させた食用カンナ

――研究室での交流は?

池田:私はJossefaさんと同じ作物学研究室で、イネの遺伝や育種に関する研究を行っています。Jossefaさんとは研究対象が違いますが、研究室の席が隣で、毎日よく話をしています。また、お互いの実験がある時には、必ず手伝うようにしています。
Jossefa:池田さんは自分にとっては家族、妹のような存在です。彼女はとてもやさしい人です。
池田:Jossefaさんと接していて感じるのは、留学生の皆さんは、モチベーションがまず全然違うということ。目的意識がはっきりしていて、目標も高いと感じます。Jossefaさんが隣で一所懸命やっている姿を見ていると、同じように高いモチベーションを持って自分も研究に取り組まなければいけないと思えます。だからその存在がすごくありがたいですね。
Jossefa:そういってくれてありがとう! とても嬉しいです。私にとっても同じです。 また、私が以前に具合が悪くなった時、病院に行きたくて池田さんに相談したところ、彼女は近くの病院を探し、予約を取って私を連れて行ってくれました。私の困っている様子に気がつくと、自分の作業を全てやめて助けてくれました。これには正直、驚きました。嬉しかったですね。

中村:私はNamushesheさんと同じ流域水工学研究室で、農業用の開水路の評価方法について研究をしています。
Namusheshe:中村さんも、私の研究をいつも手伝ってくれます。いつもです!
中村:夏場、トマトの栽培の立ち上げの時などには一緒に必要なものを買い出しに行ったり、定植の作業を手伝ったりしました。
私は、Namushesheさんと一緒に学ぶことで、いつも大きな刺激や新しい知見をもらっています。それは例えば、考え方であったり、書く文章であったり、作るスライドだったりです。以前、学会発表のスライドの確認作業をさせていただいたことがあったのですが、その時に文章形式が多かったり、図の配置の仕方なども私がこれまで見たものとは全く違っていたりして、自分の中で“スライドはこうだ”という固定観念があったことに気づかされました。
Namusheshe:私は、日本人学生と物事の進め方が大きく異なっているのでうまく適応するようにしています。
例えば、プレゼンテーションにしても、自分なら写真や図を示して、あとは口頭で説明しますが、日本人の学生はしっかりと文章で書き込んでそれを丁寧に読み上げます。そういった、よく練られた構成や作業のやりかたを学んでいます。それともう一つ、私が困っている時は、みんな全力で助けてくれます。お互いに日本が話せない、英語が流暢でないという障壁はありますが、みんなで協力して助け合おうとする姿勢からも多くを学ばせてもらっています。

――キャンパスではどんな国際交流が?

Namusheshe:他にも留学生と日本人学生の交流の機会はあります。英語を学びたい学生と仲良くなって、昼食を一緒に食べたり、188bet体育_188bet赌场-【平台官网】に一緒に出掛けたりしたこともあります。たくさんの人との出会いがあり、よい友達と呼べる人もできました。
Jossefa:留学生に対して興味を持ってくれる学生もいて、「どこから来たの?」と聞かれて「モザンビークだよ」と答えると、みんな場所は思い浮かばないのですが、「マダガスカルの近くだよ」と言うとわかってくれます。
言語についても話します。なぜなら、私がよくアメリカ人だと思われるからです。モザンビークは公用語がポルトガル語です。英語じゃなくてポルトガル語だよ、と教えると、そこでまた興味を持ってくれます。そういう学生には少しポルトガル語を教えます。ちょっとずつですが挨拶や簡単な単語を覚えてくれます。
Namusheshe:私は、日本の贈り物の文化に感激しました。どこかに行くと「お土産」を買ってきてくれます。とても相手を大事にしていると感じます。私が自国に持ち帰りたいと思っている文化の一つです。
池田:私は昨年3月に先生の出張に同行して、カメルーンに行きました。キャッサバをこねた「フフ」という食べ物をいただいて、とても美味しかったです。モザンビークやナミビアにも同じものがあるそうで、Jossefaさんたちのおかげで親しみを感じました。

カメルーンにて(写真上:市街地の様子 写真下:フフを食す)

――日本人学生に伝えたいことはありますか?

Jossefa:私は日本に来てとても気をつけていることがあります。それは、文化の違いです。挨拶の仕方、微笑み方、それが相手にセクハラと捉えられないかすごく気をつけています。モザンビークでは挨拶はキスとハグ、ボディタッチもあります。でも日本ではそれは日常的なことではない。話す時に相手の目を見ることはその人に敬意を示すことで、目線を手元に落とす事はありません。でも日本では必ずしもそうではない。今のところ失敗したことはないけれど(笑)
一人、留学経験のある人がいて、その人とは確認をした上でハグをしました。嬉しかったですね。ひとりの人間として扱ってもらえた気がしました。そういう文化の違いを理解して、尊重し合うことは大切だと思います。

Namusheshe:一つアドバイスを付け加えるとしたら、旅に出てほしいですね。海外でなく国内でもいいので、旅に出ていろいろな人に出会う経験をしてほしいです。
農林海洋科学部の先生たちは海外へ行くことも多いので、私と会えば握手をしてくれます。世界ではそれが一般的であると知っているからです。日本の学生のみなさんもぜひ旅をして、多様な文化に触れてほしいと思います。とても重要なことだと思います。

Jossefa:大学は始まりの場所でもあると思います。修士課程はたった2年という短い期間ですが、その後にはもっと長い道が続いています。勉強や研究だけでなく、今後も長く続くよい人間関係性をこの2年間で築いてほしいと思います。私自身も、モザンビークと日本をつなぐ懸け橋になれたら嬉しいです。

――今後の展望は?

Namusheshe:私の研究が、自分の国だけでなく、同じ問題を抱えている世界中の人の役に立てばいいなと思っています。トマトの品質や甘味を向上することは、みんなのためになることだと思っています。研究室の仲間と先生の手助けもあり、今、その手応えを感じているし、必ず達成できると思っています。
中村:私は将来、建設コンサルタントで働くことを志望しています。海外の事業やプロジェクトに取り組む企業も多い業界なので、そういった将来像をイメージしながら、今の学びの時間を大切にしたいと思っています。
188bet体育_188bet赌场-【平台官网】には様々な国から来られた留学生がいるので、さらに交流を広げ、お互いの文化への理解やコミュニケーション方法などについて学ぶことで将来に活かしていきたいです。
Jossefa:私の研究対象は食用カンナですが、同じ研究室の中では他にも多くの研究がされており、本当に多くの知識を学ばせてもらっています。
他にも農業用ポリマー(土壌に混ぜて土壌の保水力を高め、植物の成長を促進する高分子)の研究をしている学生がいて、彼の研究は、水不足で深刻な問題を抱えている自国でも活用できると感じました。モザンビークでは現在、約8割の農家が雨水に依存した農業を行っていますからね。
188bet体育_188bet赌场-【平台官网】で学んだことは自国のみならず、世界で活用できる知識だと信じています。
池田:私は翌春から、高知県庁の農業職に就職が決まっています。普及指導員として高知県の農業に貢献していきたいと思っていますが、県内にとどまらず視野を広く持ち、就職後も国内外の情報や動向などにアクセスして、それを取り込んでいきたいと思っています。
修士まで6年間の研究生活、海外渡航経験、留学生の方々との出会いが、そういった気づきを促してくれたと感じています。

最後に皆でアフリカポーズ!