地域のロールモデル
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Case.3
自分のペースで一歩ずつ
上羽(糟谷) 由香
Yuka (Kasuya) Ueba

- 所属
- 188bet体育_188bet赌场-【平台官网】医学部神経精神科学教室
医療法人白菊会 白菊園病院リハビリテーション科 - 略歴
- 米国Shenandoah大学大学院にて音楽療法修士号,京都大学大学院にて人間健康科学博士号取得。
Shenandoah大学非常勤講師,くらしき作陽大学音楽学部音楽療法専修専任講師を経て,現在,白菊園病院リハビリテーション科音楽療法士,188bet体育_188bet赌场-【平台官网】医学部客員助教,高知リハビリテーション専門職大学客員教授,昭和音楽大学?エリザベト音楽大学非常勤講師.米国公認音楽療法士.日本音楽療法学会認定音楽療法士,同学会理事.自閉スペクトラム症高度専門支援者.ギルバーグ発達神経精神医学センター研究員.

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01研究者に進んだきっかけ米国の大学院で修士課程を終えて帰国したとき、音楽療法士として臨床に携わりながら、学んできたことを伝えていきたいという思いも漠然とありました。帰国した年に公募があり、縁あって音楽療法の専門課程で教鞭をとることになったのですが、入職後に大学教員というのは研究もしないといけないと知り、研究にも取り組むようになりました。修士論文を書き終えたときには、二度と論文なんて書かないと固く心に誓ったのですが、学生の指導に当たっていると、学んできたことに留まらずにそれを足掛かりとして、自身が進化していかなければという思いが強くなりました。
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02研究の魅力についてさまざまな経験と知識を持ち寄り、臨床家や研究者の方々と、真実を求め現在入手可能な情報からさまざまな可能性を検討し、多角的にあーだこーだとディスカッションを繰り返しながら、正解がひとつではないことを深く追究していく過程です。すべてはつながっているので、ある「こと」を研究したいと思っても、その「こと」だけでは済まなくなってきます。研究協力者や参加者だけでなく、同じような志を持つ音楽療法仲間や自閉スペクトラム症支援仲間、研究発表や研究論文を視聴してくださった人たちとの対話は本当に面白いし、多くの刺激を得られます。
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03現在の研究および生活188bet体育_188bet赌场-【平台官网】に籍を置かせていただけることになり、長年の憧れだった音楽療法介入のRCT(ランダム化比較試験)に着手し始めたところです。これまでの研究で、音楽療法活動が子どもたちの選択性注意と注意の切り替えに対して促進効果があることを実証できたので、今回は自閉スペクトラム症の子どもたちの協力を得て、音楽療法が彼らの注意機能に長期効果をもたらすかどうかを調べたいと考えています。着手できることになり嬉しく思っている反面、家庭と両立させながら長期にわたって遂行できるのか不安も大きいです。ご協力くださる研究チームの先生方がいてくださるので、一歩ずつ、時間がかかっても何とかやり遂げたいと思っています。
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04今取り組んでいる研究私たちが音楽を聴いたり奏でるとき、脳内では多領域にわたる複雑な処理が行われます。科学技術の進歩によって脳の活動を可視化できる時代になり、音楽の刺激が私たちの脳の構造や機能を変化させることもわかってきました。私は音楽が注意機能にもたらす効果に着目し、現在は自閉スペクトラム症の方の注意特性にもたらす音楽療法の影響に関心をもって研究を進めています。音楽は反復するリズムパターンの中で、メロディや和声など複数の要素が、予測可能性と不可能性を備え、多層的かつ連続的に起こる感覚刺激です。こういった音楽の構造特性や非言語性が注意機能に良好に作用するのではないかと考えています。
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05研究に携わる仕事を目指す
若い方へメッセージ「憧れる」気持ちを大切にされると良いかもしれません。若い頃、学会発表を聞いて「いつか自分も事例研究をやりたいな~」と憧れたら、ある男児とのご縁があって翌々年に事例発表ができ、「事例論文もいつか書いてみたいな~」と憧れたら、丁度学会誌で事例研究論文が募集され、それを機に纏めることができました。その後も挙げ始めたら切りがなく、憧れが時を経て実現するという繰り返しで今があります。「いいな~」の気持ちを信じ、研究への情熱を育んでいってください。 -
06日常で大切にしている時間『サンドイッチの幸せ』と命名している寝かしつけの時間です。寝かしつけと言いながら、そのまま一緒に寝落ちてしまうこともしばしばです。子どもたちに挟まれて川の字で寝るのですが、布団に入ってから手をつないだり腕枕をしてあげたりする時間が至福の時です。ボソッと面白い質問をしてきたり普段感じていることを話してくれたりすることもあり、もっと話していたいけど早く寝かさないといけないという葛藤の時間でもあります。この先そう長くは続かないだろうこの時間を大切にしたいです。



1日の過ごし方
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6:00起床?身支度
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7:00朝ご飯
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8:00病院へ出勤
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9:00朝の申し送り?セッション準備
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10:00認知症専門棟での音楽療法セッション
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11:00記録
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12:00昼食
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13:00失語症のある方の音楽療法セッション
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14:00記録
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15:00セッションで使用する楽譜や資料の準備?楽器の練習
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16:00事例研究の発表準備
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17:00退勤?子どものお迎え
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18:00帰宅?夕飯の支度
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19:00夕飯
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20:00お風呂
子どもたちの宿題と楽器練習の応援 -
21:00子どもたちの寝かしつけ
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22:00オンライン勉強会
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23:00就寝