研究室紹介
免疫はさまざまな病原体から体を守る生体防御の仕組みです。生命の誕生以来、原始的生物から高等生物まで、自然選択が繰り返された結果、私たちの体には効率よく病原体を処理する、進化した免疫システムが備わっています。
しかし、これでも防ぎきれない感染症は世界的に大きな問題として残っています。また免疫の異常による疾患や、加齢に伴う免疫機能の変化が関与する病態も存在します。一方、免疫の働きをうまく制御することで、臓器移植の拒絶反応を抑えたり、がんの治療に活かしたりすることが可能になってきましたが、まだ十分とは言えません。
こうした課題を克服するためには、臨床研究や観察とともに、免疫システムの基本原理を明らかにする基礎研究が不可欠です。なかでもヒトの免疫システムについては、長い研究の歴史をもつ実験動物と比べて、まだ十分に理解されているとは言えません。そこで私たちは臨床検体を用いたヒト免疫の基礎研究や、ヒト免疫病態を念頭に置いた動物実験に取り組んでいます。なかでも特定の病原体や異物の成分を認識して反応するT細胞や、それに対して抗体を作るB細胞を主な研究対象としています。