公開日 2025年3月10日
188bet体育_188bet赌场-【平台官网】6年度「授業について考えるランチセミナー」<障害学生に対するキャリア支援>が開催されました。
授業について考えるランチセミナーは、テーマを変えて、毎月第2?第3木曜日に開催しています。
テーマの詳細やお申込みについては、FD?SDの取り組み | 高知大ポータル (kochi-u.ac.jp)の、「授業について考えるランチセミナー」ページをご覧ください。
-----開催報告-------
◆開催日時
第1回: 2月13日(木)12:05~12:50
第2回: 2月20日(木)12:05~12:50
◆参加者数
第1回: 2月13日(木) 68名
第2回: 2月20日(木) 60名
◆コーディネーター?講師?登壇者
コーディネーター : 杉田 郁代(188bet体育_188bet赌场-【平台官网】学び創造センター)
第1回 : 講師: 杉田 郁代(188bet体育_188bet赌场-【平台官网】学び創造センター)
第2回 : 講師: 杉田 郁代(188bet体育_188bet赌场-【平台官网】学び創造センター)
登壇者: 大沼 泰枝(香川大学学生支援センター)
畠 一樹(徳島大学高等教育研究センター)
◆内容
第1回: 第1回では主に、障害をもつ学生における状況やその支援に向けた政策の動向について、文部科学省「障害のある学生の修学支援に関する検討会」による『障害のある学生の修学支援に関する検討会報告第三次まとめ』(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/123/mext_01732.html)をもとに講師から解説がなされた。
まず、とくに講師が強調したのが、障害のある学生の支援に向けて、大学における学内の体制を整備すること、とくにそれら学生支援部署の「連携?協働」の必要性である。すなわち本セミナーのテーマである「キャリア教育」においては、学生支援部署とキャリア教育担当部署が連携することであり、学生が低年次の段階から働きかけることで大学卒業後のキャリアの選択肢が増えることが期待されること、一方でそれらの領域は未着手であり、今後発展させていく必要があることが講師から示された。現在実施されている主な事例としては、障害のある学生向けの就職ガイダンスやセミナーの実施、ハローワーク等の学外機関との連携がある。
とくに現在、発達障害や精神障害を有するため合理的配慮が必要な学生が増加していることを踏まえ、講師は学外機関との連携によるキャリア教育?支援の取り組みが重要であることを強調している。その中でもとくに重要な連携先として挙げられたのが、発達障害者支援センターや広域障害者職業センターといった地域の支援機関である(https://www.jasso.go.jp/faq/gakusei/tokubetsu_shien/career/1190802_2800.html)。
また、障害のある学生のキャリア支援に対しては、通常のキャリア支援(一般企業への就職)に加えて福祉的支援(障害者雇用制度や福祉サービスの活用等)を含めた多様な選択肢があることを踏まえた支援が求められることについても説明がなされた。
最後に障害のある学生のキャリア支援に対しては、学生個人にも低年次の段階から自己の障害特性について理解し、支援者や就職先といった他者に説明できるようになることが求められること(https://www.nivr.jeed.go.jp/center/report/support13.html)やセルフアドボカシー(セルフマネジメント)等のスキルの習得(https://www.jasso.go.jp/gakusei/tokubetsu_shien/shogai_infomation/handbook/index.html)、またそのための個別支援が必要となることが述べられた。
第2回: 第2回はまず第1回の内容の振り返りに加え、寄せられた質問に対する講師の回答から始まった。その後、今回は記述式や多肢選択式の試験問題の作成に焦点を当て、授業の目的に沿った試験問題をどのように作成するかについて講義が行われた。
その第一として、まず講師から短答式、穴埋め式、多肢選択式、論述式といった試験問題の種類と、それぞれの特徴や評価できる能力について、相互に比較しながら紹介がなされた。その後、これらの試験問題の種類や特徴を踏まえて、試験問題を作る際の工夫について解説が行われた。例えばその例として、複数の種類の試験問題を組み合わせることや、学生の興味を喚起するような内容(国家試験や時事問題に関するもの等)を用いることが挙げられた。さらには多肢選択式問題では回答形式を複数にすること等で自身の理解によらずとも正答となりうることを防いだり、記述式問題であれば学生自身の考えや解答に至った経緯を書かせたりするといった工夫も効果的であることが述べられた。さらに試験結果を学生にフィードバックすることの有効性やその方法についても紹介がなされた。その方法としては、教員の負担も鑑み、模範的な解答を共有する、学生自身に自己評価を行わせる、平均点等のデータを示すといった例が示された。
その後は実際の学生2名に参加してもらい、第1回で募集した学生に尋ねたい4つの質問の中から回答してもらった。学生からはテストの解説と同時に学習におけるポイントや重要な点を伝達されることで授業内容の理解が深まることや、大学で初めてレポートを執筆したさい、書き方が分からなかったり、授業によって提出方法や書式等が違うことで困惑したりしたといった、自身の経験にもとづいた意見が出された。またコメンテーターとして登壇した塩川 奈々美 先生からは、教養教育の授業内で実施したアンケート(n=28)の結果についても紹介があった。その後は参加者から匿名で質問を投稿することができるLearnWiz Oneを活用して質問を受け付け、学生視点からの意見を踏まえながら議論や質疑応答がなされた。
◆成果と課題
参加者アンケートを行った結果、「5. 本セミナーは今後の教育活動において有益なものであった」という設問において、第1回、第2回ともに全ての回答者から肯定的な回答 (「とても当てはまる」「どちらかといえば当てはまる」の合計) を得ることができた。また、他の設問においてもおおむね肯定的な回答が得られた。
表 アンケート設問「5. 本セミナーは今後の教育活動において有益なものであった」回答結果
|
第1回(2月13日 ) |
第2回(2月20日) |
とても当てはまる |
16(59.3%) |
8(42.1%) |
どちらかといえば当てはまる |
11(40.7%) |
10(52.6%) |
どちらかといえば当てはまらない |
0(0%) |
1(5.3%) |
まったく当てはまらない |
0(0%) |
0(0%) |
合計 |
27(100%) |
19(100%) |
※その他のアンケート項目の結果はグラフを参照。
自由記述においては、障害をもつ学生に対するキャリア教育や就職支援の重要性を知ることができた、具体的な事例を見ることができ有益であったという意見が多く見られた。とくに実際にこれらの活動に携わっている担当者からは、このような学生に今後対応する可能性、あるいは現在進行形で対応している現状にあたって重要な示唆が得られたといったコメントが寄せられた。また、今後の希望として実際に対応を受けた側の学生の言葉を聞きたいといったものや、障害をもつ学生だけでなく留学生を対象とした支援についても知りたいといったものがあった。
合理的配慮を要する学生に対する支援を扱った回はこれまでのランチセミナーでも関心が高く、今回も多数の教職員が参加した。合理的配慮については現在においても制度の整備や実践が進められており、今後も有用な情報が提供できるよう、最新の動向を収集しセミナーの計画?実践を行いたい。
◆アンケート回答結果
第1回 (n=27)
第2回 (n=19)
■セミナーの模様(アーカイブ動画より抜粋)